直近の業績と予想
2023年3月期 決算概況
2021年3月期 実績 |
2022年3月期 実績 |
2023年3月期 実績 |
増減率 |
|
売上高 | 14,836 |
15,589 |
18,791 |
20.5% |
営業利益 | 1,437 |
1,621 |
1,321 |
△18.5% |
Non-GAAP営業利益 | 1,530 |
1,841 |
1,606 |
△12.8% |
経常利益 | 1,439 |
1,619 |
1,324 |
△18.2% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,009 |
962 |
864 |
△10.2% |
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染対策による行動制限が緩和されたことで経済活動の正常化が進み、ウィズコロナの下で景気の持ち直しが見られました。
このような経済環境の中、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、国土強靭化計画等を背景とする関連予算の執行により、公共投資が底堅く推移したほか、民間建設投資はアフターコロナを見据えた設備投資意欲の向上により、製造業を中心に増加し、全体としては前年同期を上回りました。当社においても、建設業界が抱える技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、技術者派遣事業の足もとの受注状況は前年同期を大きく上回る水準で推移しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響も軽微であることから、外部環境は堅調に推移しております。
このような事業環境のもと、当社グループは2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build theFuture 2027」の実現に向け、中長期の成長を見据えた取組みを推進しております。当社グループのコアサービスである建設技術者派遣を展開する株式会社コプロ・エンジニアード(現、株式会社コプロコンストラクション)では、取引先からの月間の取得案件数が3,000件を超える等旺盛な人財需要に対して、事業成長の礎である技術者を確保することを優先課題に掲げ、採用活動の強化、並びに定着率の改善に係わる取組みを推進いたしました。採用面においては、先行投資として前年同期比3倍近い採用コストを積極投入し、有料媒体や自社求人サイト「現キャリ」を通した求人を拡大いたしました。加えて、入口となる面接数の拡大を始めとした採用活動量の底上げに取り組んだ結果、当連結会計年度における採用人数は1,472人と過去最高を記録し、前年同期比638人の増加となりました。また、技術社員が安心して長く働ける環境を提供するために、工事案件を豊富に有し、高い契約継続率が見込めるターゲット企業への深耕営業に継続して注力したほか、条件を満たした有期雇用技術社員を対象に無期雇用への転換を進めたことにより、退職人数が抑制され、定着率は74.4%(前年同期比5.0pt増)と改善いたしました。更には、高砂熱学工業株式会社の連結子会社であるヒューコス株式会社の労働者派遣事業を2022年4月1日付で吸収分割により承継したことにより、大手サブコンで経験を培った高スキルの技術者122人が移籍いたしました。これらの取組みにより、当連結会計年度末における技術者数は2,777人(前連結会計年度末1,995人)となりました。また、2022年11月14日付で建設業向けDXを手がけるスパイダープラス株式会社と業務提携契約を締結。同社が提供するDXサービス「SPIDERPLUS」に関する研修を当社の研修カリキュラムに組み込むことにより、建設現場のDX化に対応できる即戦力人財の育成に取組み、人財の付加価値向上に取り組んでおります。
機械設計開発技術者派遣・請負サービスを展開する株式会社アトモス(現、株式会社コプロテクノロジー)においては、首都圏の需要取り込みを目的に東京支店を開設したほか、採用面では大手メーカー出身のエキスパート人財に加え、未経験者の採用も強化いたしました。これらの結果、当連結会計年度末における技術者数は159人(前連結会計年度末116人)となりました。
SES(システムエンジニアリングサービス)を展開するバリューアークコンサルティング株式会社(現、株式会社コプロテクノロジー)においては、2021年10月のM&Aによるグループイン以降、営業体制を順次強化していることも奏功し、事業年度末の季節性要因により2022年4月の稼働人数は一時的に減少したものの、5月以降は増加傾向に転じ、当連結会計年度末における稼働技術者数は100人(前連結会計年度末90人)となりました。また、2023年3月には、登録者 8,000 人以上の国内最大級 IT エンジニア向け案件紹介サイト「ハッピーエンジニア」を全面リニューアルし、新たに「ベスキャリ IT」としてオープンいたしました。ユーザーインターフェース等の使い勝手を改良したほか、イメージキャラクターとしてお笑いコンビの宮下草薙のお二人を起用し、ブランディングの強化を図っております。
2021年4月にベトナム社会主義共和国に設立した海外事業子会社COPRO VIETNAM CO., LTD.においては、人材難に悩む日系企業と日本での就業を希望するベトナム人学生をつなぐ事を目的に、現地の理工系国立大であるハノイ工業大学と2022年5月に提携いたしました。また、7月からは学生の募集及び日本語教育等の無償提供を順次開始いたしております。引き続き、サービス展開の基盤固めを行ってまいります。
これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、建設技術者派遣の株式会社コプロ・エンジニアード(現、株式会社コプロコンストラクション)の技術者数が増加したことに加え、株式会社アトモス、バリューアークコンサルティング株式会社(現、株式会社コプロテクノロジー)においても技術者数が伸長し、当連結会計年度末の連結技術者数が3,036人(前連結会計年度末2,201人)と増加したため、売上高が18,791,365千円(前年同期比20.5%増)となりました。利益面につきましては、売上高の増加に伴い売上総利益が増加した一方、積極的な先行投資による採用費の増加、事業拡大に必要な営業部門の増強による人件費の増加、連結子会社の増加に伴う販売費及び一般管理費の増加等により、営業利益は1,321,738千円(同18.5%減)、経常利益は1,324,251千円(同18.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、864,595千円(同10.2%減)となりました。
なお、当社グループは技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
2024年3月期 業績予想 (2023年11月14日発表時点)
2023年3月期 実績 |
2024年3月期 業績予想 (11/14上方修正) |
増減率 |
|
売上高 | 18,791 |
24,298 |
29.3% |
営業利益 | 1,321 |
2,042 |
54.5% |
Non-GAAP営業利益 | 1,606 |
2,342 |
45.7% |
経常利益 | 1,324 |
2,115 |
59.7% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
864 |
1,361 |
57.4% |
今後の見通しにつきましては、当社グループの主要顧客先である建設業界においては、2025年開催予定の大阪万博、2027年開業予定のリニア中央新幹線(品川・名古屋間)関連、都市開発プロジェクト関連工事や、既存インフラ老朽化に伴う再整備など、引き続き堅調な建設需要が見込まれております。また、他業界に比べて顕著な高齢化と若手不足の構造的な問題に加え、2024年4月より「働き方改革関連法案」が適用され、残業時間の上限に罰則規定が設けられる予定であるため、今までは1名の人材で完結していた業務が細分化されるなど、人材不足が一層深刻となり、企業における派遣人材の活用は今後も加速していくと予測しております。
このような状況の中、当社グループは、2023年3月期から2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」を策定し、持続的な成長、中長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。当社グループのパーパス(存在意義)「最高の「働き方」と最高の「働き手」を。」のもと、本中期経営計画期間においては、エンジニア一人ひとりのキャリアアップと、それを応援する幅広いサービスや仕組みを具備した「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を軸に、DXによる業務革新、機械設計・SES事業の拡大、組織能力の強化、組織の活性化を図る各種施策や制度設計を計画的に進めております。
2024年3月期は、コアサービスである建設技術者派遣において、前期までに推進してきた営業及び採用改革の成果を結実させ、収穫期を迎える利益創出フェーズに移行してまいります。事業基盤の更なる強化を図りながら、積極的且つ効率的な採用費の投入、並びに定着率の向上に向けた施策を講じてまいります。また、機械設計開発技術者派遣・請負、SESにつきましても、成長投資を継続することにより、技術者数の拡大を見込んでおります。これらの取組みにより、2024年3月期末の連結技術者数は4,271人と4千人を突破する見通しであり、前期末比40.7%増を見込んでおります。これらの前提を踏まえ、2024年3月期の連結業績予想につきましては、売上高24,298百万円(前年同期比29.3%増)、営業利益2,042百万円(同54.5%増)、経常利益2,115百万円(同59.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,361百万円(同57.4%増)となる見通しです。
尚、本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(注)中期経営計画の概要につきましては、2022年5月13日公表の「中期経営計画の策定に関するお知らせ」をご参照ください。